序文
米食悲願
米の名前
古代米-1 赤米
古代米-2 黒米・香米
脚気と米の関係
脚気 その克服
飢餓の構造-消えた食糧
飢餓概観
天明飢饉の昔話
肉食考(ニクジキコウ)-1
肉食禁下にて
肉食開放へ
肉食は開化の味
精進料理とは
精進料理の心
いもの話
仏教と食
おせちの話
ヒエ、アワ
日本食雑感
忍者の携帯食
農稼録
..

おせちの話

 おせち料理は日持ちも良く、料理作り担当者も当分はノンビリすることができる料理ですが、漢字に直せば「御節」で、人日[じんじつ](1月7日)、上巳[じょうし](3月3日)、端午[たんご](5月5日)、七夕[たなばた](7月7日)、重陽[ちょうよう](9月9日)の「五節供」の際、朝廷の宴会で出された料理がもとです。

 節の行事は中国から伝来しましたが、ひな祭りや端午の節句、七夕は今も残っている風習。

 私などはクリスマス、バレンタイン、ホワイトデーまで色々なイベントがゴチャゴチャに混在しているため、上に挙げた5つの祭が同一線上に連なった祭だとは思っておりませんでした。しかし配置を見ると、きれいに奇数の月に配置され、生活が短調にならないように節をつけていることが分かります。

 おせち料理は重箱に入って出てきますが、正式には一の重から四の重まであります。

 一の重には口取りと言ってオトソを飲むための料理(黒豆、田作り、栗キントン、伊達巻等)を入れます。
二の重には焼き物。三の重には家庭的な祝い煮物。四の重には祝い肴または酢の物を入れます。ちなみに四の重は「しのじゅう」とは読まずに「よのじゅう」と読みます。「し」は「死」に通じるからです。

 では料理の中身について見てゆきましょう。

 伊達巻は伊達に「お洒落で洗練されている」といった意味があるように、華やかな人になること、または巻いてありますから、巻物をよく読む。つまり勤勉になることを意味すると言います。

 考えてみれば伊達という苗字の方は名前からして、「お洒落」ですからプレッシャーがかかりますね。しかし伊達という苗字はもとは「館(たち)」から発生したもので、「館・または城を建てた人」という意味ですから、プレッシャーを感じる必要はございません。

 また広辞苑で、伊達巻には「女が着くずれを防ぐため、帯の下に締める幅の狭い帯」とありますが、直接的にはこちらが語源かもしれません。

 エビは腰が曲がるまで健康で長生きできるように、という意味。人気の栗キントンは漢字で「栗金団」。金塊をイメージさせるもので、金持ちになることを意味します。

 黒豆は、黒という色が邪気を払い不老長寿をもたらす色とされていることから縁起物とされています。豆にはマメに暮らす、という意味があるそうです。マメにはもともと「誠実、勤勉」などの意味があります。

 数の子はニシンの卵ですが、ニシンは古語で「カド」と言い、「カドの子」「数の子」に変化したものだそうです。意味は読んだ通り、子孫繁栄でしょう。

 昆布巻きは「養老昆布」と書いて、「よろこぶ」と読みます。「養老」ですから意味は不老長寿。

 どうも駄洒落が多いと言われそうですが、日本人はこのように言葉に魂が宿ると考え、縁起の良い事にも悪い事にも語呂合せを多用しました。駄洒落は「親父ギャグ」などとよく言われ馬鹿にされていますが、若い人も「今のは親父ギャグ」と言い訳しながら、結局は駄洒落が多いようですね。
△上へ

農と食の歴史コラム トップへ戻る。

>>クサツパイオニアファーム