序文
米食悲願
米の名前
古代米-1 赤米
古代米-2 黒米・香米
脚気と米の関係
脚気 その克服
飢餓の構造-消えた食糧
飢餓概観
天明飢饉の昔話
肉食考(ニクジキコウ)-1
肉食禁下にて
肉食開放へ
肉食は開化の味
精進料理とは
精進料理の心
いもの話
仏教と食
おせちの話
ヒエ、アワ
日本食雑感
忍者の携帯食
農稼録
..

忍者の携帯食レシピ


今月のコラムは忍者の携帯食についてです。



 今回はパイオニアファームのある草津市のご近所さん甲賀郡で有名な忍者の携帯食のお話です。

 忍者は現代で言うとスパイに特殊部隊とかけ合せたような存在で、偵察活動から軍が攻め入る際に敵の軍を混乱状態にさせておくなどの役割まで担ったといわれます。長時間一つの場所に隠れて敵が来るのを待ったり、奇襲攻撃するチャンスをうかがったりもしましたから、必然的に保存食の研究をよくしました。いざという時に腹が減って力が出なかったでは、洒落にもならないからです。

 まず忍者の考えた事は可能な限り現地調達をすることですが、運良く現地に木の実や果物などがたわわに実っているとも限りません。そこで保存食を持って任務にあたることになります。

 「堅焼き」は玄米などを粉にして、これを堅く焼いた伊賀の名産品。その名の通り、恐ろしく堅くて割るのにも一苦労ですが、出撃前に一口サイズにしておいて、おばぁちゃんのように口の中でクニャクニャと転がしていれば柔らかくなるし、割る際の大きな音も出ません。これは忍者食にはピッタリです。

 忍者が携帯食として食べたものとして触れなければならないものに兵糧丸(ヒョウロウガン)があります。現在の菓子では「スニッカーズ」などのチョコバーは優秀な携帯食だといわれますが、兵糧丸はこれらと似た食べ物です。

 兵糧丸の製法は人によって差異もありますが、おおむね材料は以下の通りです。

 寒中にさらした米(112.5gほど)、
 蕎麦の粉(18.75gほど)、
 鰹節(112.5gほど)、
 鱈に塩をつけずにそのまま干したもの(112.5gほど)、
 梅干の梅肉(112.5gほど)、
 松の甘はだ(112.5gほど)。

 具材が準備できたら、これらの具材を粉末状にします。そして徐々に混ぜ合わせていき、1.5cmほどの大きさに丸めたら出来あがり。1日に3粒を食べるだけで全く腹が減らなくなる、と言いますが・・・実際はこれで腹が減らないはずがありません。しかし緊急時には役に立ったでしょう。

 また、これを食べるとノドの乾きを覚えないという不思議な水渇丸(スイカツガン)の材料は以下です。

 甘草(15g)、
 ミント(15g)、
 葛粉(15g)、
 塩白梅(15g)、
 鳥梅(?)(22.5g)、
 蒸したカシュウ薯(22.5g)、
 茯苓(ブクリョウ)(サルノコシカケ科の菌)(45g)。

 これを1cmほどに丸め、兵糧丸同様に1日3粒を食べれば4、5日は喉が乾かないと言います・・・これまた4、5日も渇きを覚えないとは思えないのですが、内容物を見ると、つばを出す効果の高いもの(酸っぱい、甘い)があり、唾液によって一時的にのどの渇きを潤すことは出来るでしょう。

 実は兵糧丸などを使った記述は他国大名の書にも見ることができます。だから忍者だけが使っていた、というわけではありませんが、そういってしまえば忍者だけが使っていたものといえるものはほとんど無くなってしまいます。忍者はその当時日本にあった使えそうな最新の品を収集して駆使した人々だったと考えるとよいのではないでしょうか。
△上へ
このページ

農と食の歴史コラム トップへ戻る。

>>クサツパイオニアファーム