序文
米食悲願
米の名前
古代米-1 赤米
古代米-2 黒米・香米
脚気と米の関係
脚気 その克服
飢餓の構造-消えた食糧
飢餓概観
天明飢饉の昔話
肉食考(ニクジキコウ)-1
肉食禁下にて
肉食開放へ
肉食は開化の味
精進料理とは
精進料理の心
いもの話
仏教と食
おせちの話
ヒエ、アワ
日本食雑感
忍者の携帯食
農稼録
..

江戸時代の農民像

「農稼録」という書に、幕末の尾張(今の愛知県辺り)農民の姿が描かれております。この書は、特に失敗する民の姿が経営や生き方にも参考になり、読んで面白いものです。

 今回は、この書の内容を簡単にまとめてみましょう。

○良き民:正直で倹約家。農業に専念して、収入も高い。

正直さは、時に損も引き起こします。しかし正直さの引き起こす損は、人に信頼感を呼び起こし、最終的には大きな利が生まれることになることも多いでしょう。


○平らかな民:自己の能力の7割から8割の田畑を作る。農業以外に目を向けず、暮らしは豊か。

自分を知り、妄想的な欲望に支配されなければ、豊かな暮らしがおくれるということでしょう。


○むさぼる民:能力以上に、たくさん作ろうとして、結果、手入れが行き届かなくなってしまう。

「もう少し、あと少し」という欲望が失敗をもたらす例でしょう。


○いらつく民:いつもイライラして、先走って行動するため、失敗ばかり引き起こし、収入も少ない。
○遅し民:行動がのろく、適時適作が出来ないので、収入が少ない。

いらつく民とセットで考えると良い項目です。早すぎてもいけなく、遅すぎてもダ
メ。これは計画をしっかり練ることで回避できすますね。


○おろそか民:人まねをするが、せっかくのアイデアも、いい加減で形ばかり。結果、失敗して、収入が少ない。

これは倒産する会社に多い行為だといいます。すぐれたテクニックも、型ばかり導入すれば、効果は期待できません。それでも人は、効果が出ないと「こんなテクニックは役に立たないじゃないか」と、テクニックのせいにしてしまいがちです。「あれもやったし、これもやった。でも全部ダメだった」と思った時は、要注意かもしれません。


○貧民:人並みに働いているのに、不運などで貧しいまま。

不運はどうしようもありません。しかし「自分は運が悪い」と嘆く人の多くは、運が悪いのではなく、実は、その人の行動自体が不運のように見えるものを巻き起こしていることが多いのかもしれません。これに気がつけば、不運と思っていたものの多くは消えてゆくのでしょう。


○癖民:頑固・偏屈なため、一つのやり方にこだわり、より良い方法を受け入れないため、貧しい。

「頑固一徹」は魅力でもありますが、それが通じない時は、新しいものに目を向ける柔軟さも必要ということでしょう。私の実家の近くに、頑固一徹なのに、まずいラーメン屋がありました。こういう頑固さは少し笑えますけれども。


○苦民:農業をあまり勉強しないため、働いても働いても収穫がたくさん得られない。

経験と、それを裏打ちする知識・理論が成功の秘訣なのは、今も変わりません。時間は「有るもの」でもも「無いもの」でもなく、「作るもの」だと言います。時間を作り、多くの知恵をつけた人は成功への最短距離に立ったといえるでしょう。

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