序文
米食悲願
米の名前
古代米-1 赤米
古代米-2 黒米・香米
脚気と米の関係
脚気 その克服
飢餓の構造-消えた食糧
飢餓概観
天明飢饉の昔話
肉食考(ニクジキコウ)-1
肉食禁下にて
肉食開放へ
肉食は開化の味
精進料理とは
精進料理の心
いもの話
仏教と食
おせちの話
ヒエ、アワ
日本食雑感
忍者の携帯食
農稼録
.. 古代米-1

赤米

 平成6年のデータに拠ると、日本で生産される米の品種は半数近くがコシヒカリです。このコシヒカリは3分の2以上の県で栽培されており、日本はまさにコシヒカリだらけともいえます。

 しかし過去の日本において、これほど偏った品種の生産をしていた時代は他にありませんでした。日本には様々な種類の米があり、白米だけでも数え切れない程の品種があったようです。田んぼでは一枚一枚にも単独の品種でなく、様々な品種を混在させました。台風では収穫直前の背丈も高く、大きな穂をつけた状態の稲が一番被害を受けます。ここ全て同じ品種になると収穫時期が一つの時期にまとまってしまう為に、一度台風などの被害があれば全てが被害を受けてしまいます。しかし様々な品種がいれば成長のスピードに差が生まれ、仮に一つの品種が台風の被害を受けても、その時まだ小さい状態のものは被害が受けにくくなる訳です。つまりリスク回避の知恵と言えましょう。

 今回は白米とは少し異なる米、赤米について紹介してみましょう。

 野生の稲と言うものは殆どのものが玄米の表面に赤い色素を含んでおります。これを一般に赤米と呼び、現在は古くからあったものとして、黒米等と共に「古代米」という呼び方もします。

 赤米は2000年以上前、日本に米が来た時、白米と共にもたらされたと考えられております。しかし白米が時代を経て愛されるようになり、徐々に赤米の地位は下がります。そして、ついには我々にとって、赤米とは何ぞや?と言う程に、その姿は見られなくなってしまいました。

 普通の米(ジャポニカ米)は背丈が低く、成長しても中々籾が落ちません。本来、米が生き残る為には早めに籾が落ちた方が良いような気もしますが、人間が落ちにくいものを選んで育ててきたため、その様な性質のものが残って来ているわけです。

 これに対して赤米は丈が普通の稲よりも高く、倒伏(倒れて収穫ができなくなる)の弱点があります。また籾が自然に良く落ちるので、収穫量があまり多くありません。赤米は生命力が強いので、白米よりも寿命が長く、放っておいても生えてきたりします。この点、自分で生きようとしているので、野生種に近い品種と言えます。

 こういった特性を考えれば、古代米の役割は自ずと救荒作物的な役割を持つ事になります。白米が高級品だった時代は庶民の腹を満たす為、赤米は重要な役割を担ってきました。現在、赤飯は小豆を入れてモチ米に赤く色をつけて蒸かすことで作りますが、これは赤米を食べていた頃の名残だとも言います。

 このような強い品種が何故、消えたのか。原因は味の悪さと言います。赤米の色素にはタンニンが含まれており、渋みがあります。また硬く、粘り気も少ない為、冷えるとボロボロになってしまいます。市場原理が働くようになれば、ただ食べられれば良いと言うわけにはいかなくなる。明治以降、各地で赤米等の「粗悪米」が混じった米は取り扱わないといった方法を取り、赤米は日本から姿を消して行きました。
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